がん(悪性新生物)の概要
がんの治療
近年の医療技術の進歩で「がん(悪性新生物)はもはや不治の病ではない」や「初期のがんなら短期の入院治療で簡単に完治できる」などと伝えられています。果たして、これらの情報は本当なのでしょうか?厚生労働省から2009年に発表された日本人の死亡原因の1位はやはり「がん」なのです。
昔から人々に恐れられているこの疾患は、2位以下の自殺、心疾患、脳血管疾患を抑えて全死亡原因の30%を超える最大の死亡原因となっています。日本は世界1の長寿国であり、かつ最高レベルの医療先進国でもあります。加えて、がん発生のリスクに関する一般社会への周知や、早期発見のための検診も広く実施されていて、がん予防には万全の体制のように思えます。それでも、がんが死亡原因の1位という現実は避けられていないのです。
心疾患と脳血管疾患はいわゆる突然死のケースが多いのですが、それに比較するとがんは発症から死亡に至るまである程度の治療期間があるにも関わらずです。様々な関連の統計数値結果を見ると、やはり現代でもがんは難病と言わざるを得ません。戦前の日本で死亡原因で際立っていた肺炎と胃腸炎に加えて、戦後しばらくは結核が死亡の主な原因だったのです。
しかし大戦後には、栄養状態の改善や予防対策、有効な治療法などの出現に伴って感染性疾患が劇的に減少し、やがてこれらの病気に代わって、がん、心疾患、脳血管疾患などの老化と連動した疾患が増大してきます。合わせて糖尿病、慢性肝疾患などの生活習慣が発症の原因とされる疾患も増え、それまでのの成人病が「生活習慣病」という新しい呼称で呼ばれるようになってきたのです。時代によって、対応すべき疾患が大きく変貌を遂げていると言えるでしょう。
それでも、これらの多くの疾患が発生している中で、やはりがんの死亡率が上昇している背景には一体何があるのでしょうか?一つには、難病であるがん(悪性新生物)が原因で死亡された高齢者の人口比率が、年々上昇しているという点を挙げることができます。日本国内での通常の死亡率(粗死亡率)と年齢調整死亡率を比較したデータがあります。このデータを基に日本人の高齢化の要因を除くと、この数十年でがんによる死亡率は逆に低下していると伝えられているのです。ある視点から見ると、がんは減少していたのです。