終末医療、そして光

がん治療の未来

人間は本当に長い年月をかけて「がん」と戦ってきました。しかし、医療が目覚ましく進化した現代でさえ「がん」を制圧したとは言えないのです。かって14世紀にヨーロッパ全域で人々を恐怖のどん底に陥れたぺスト菌や、戦前の日本で国民病とまで言われた結核菌の活動を衰退させたように、果たして「がん」を衰退させられる日が訪れるのでしょうか。


ある疾患を封じ込める方法は、適切な予防と確立された確実な治療法です。がん治療の現場で、近年注目を集めている治療法に重粒子線治療があります。これは放射線治療の一種ではありますが、主に陽子線や炭素イオン線などの粒子線を使った治療と言えるのです。


粒子線をコンピューター制御によって患部のごく狭い範囲に向けてピンポイントで照射する方法で、がん細胞の遺伝子を直接破壊することが可能なのです。患者はこの粒子線を受けている時でも、痛みも熱さも一切感じることはないと言われています。この治療法のきわめて高い有効性は各方面からも認められていますが、現在日本でこの重粒子線治療が行える医療施設は3箇所しかありません。


それに加えて、重粒子線治療機器は一般の病院に簡単に設置できるサイズではなく、驚くべきことに巨大サイズの加速器が収まる小ホール位のスペースが必要とされていて容易に建設するのは難しいと言われているのです。 海外でも新しいがん治療の研究は続けられています。ある研究者は「分子レベルでのガン治療」を進めています。簡単にいうと、変異したがん細胞の暴走のエネルギーになっているタンパク質の働きを停止させることでがんの活動を抑制する、というものです。


この治療法は既に臨床治験に入っていると伝えられています。また別の研究者は「血管の新生がなければガンは成長しえない」という着眼点から、副作用なしに血管の新生を阻害しがん細胞の増殖を抑えることができる血管新生阻害剤の研究を実現化に向けて続けていると言われています。 このように地球上の様々な場所で、日々がんに対する研究が進んでいるようです。いつの日か、がんが昔の病気だったと話せるようになるのでしょうか。