多岐にわたるがん治療
手術療法
もともと自分の体にあった、細胞の分裂や増殖をコントロールする遺伝子が突然変異を起こして増殖していくのがん細胞なのです。このがん細胞はしばらくは発生した部位に留まっていますが、やがて周辺組織の奥深くに浸潤し、次にリンパや血流に侵入して転移していきます。
がん細胞が別の部位に転移していくと、がんの治療は非常に困難なものになっていくのです。特に細胞レベルで転移しているともはや肉眼では確認することができません。がんの根治療法として手術を選択した場合、肉眼では確認できないがんの転移の有無が手術の成功を左右するのです。拡散してしまったがん細胞を残らず切除できなければ、残存したがん細胞は再び増殖していきます。
がんの手術療法はメスでがん組織を切除してしまう方法ですが、その際にがん細胞の取り残しがないように通常は患部の周辺の正常と思われる組織も含めて切除します。早期の胃がんなどで他の部位に転移していない場合は、この手術療法で完治することができます。がん細胞が発生した部位に留まって転移していない早期がんの場合だと、がんは手術で完全に治すことができるのです。この手術療法は進行がんの場合にも行われますが、その場合はがんが発生した部位と転移を想定した周辺のリンパ節も同時に切除するのが通例です。
このように転移が予想される範囲を広目に想定して切除したとしても、術後にしばしば再発が見られるのが現実なのです。あるデータによると、胃がん患者を100人手術した結果、およそ7割が完治しますが残りの3割近くが術後に再発しているのです。この残念な結果は肉眼では見えない細胞レベルのがん細胞を切除しきれなかったためと考えられます。
また手術の範囲を越えて、がん細胞が血流やリンパの流れに乗って他臓器に肉眼では見えない転移を生じていて、後にこれらのがん細胞が増殖して再発するとも考えられているのです。進行がんの手術療法では、術中に切除しきれなかったがん細胞をどのように治療していくかが大きな問題になってきます。このために術後には再発予防のために放射線療法や化学療法を併用することが行われているのです。